【猫の穴】ふたつ、不埒な悪行三昧 2020-06-11 22:05 美吉屋

まさかの続編すみません!

駄文な長文を読みたいと思われる奇特な方は、まずこちらからお読みください↓

https://forum.jp.blackdesertm.com/Board/Detail?boardNo=32&contentNo=12763&pageNo=1

 

 

月日が流れて、桃太郎はすくすくと元気に育っていきました。

大人たちの仕事をよく手伝い、細い眼をさらに細めていつもニコニコと愛想よく笑っていました。

おじいさんとおばあさんは、桃太郎をたいそう可愛がりましたし、村の人からもとても可愛がられていました。

 

桃太郎は週に1度、隣村にまで通い、そこに住む剣の達人と言われる人から剣術を学んでいました。

おじいさんたちは、自分たちの食べる分を削って、以前よりさらによく働いてそれを桃太郎の稽古代に当てていました。

村の人たちは平和が続く世の中になったというのに、さらに苦しい生活をしてまでなぜ剣術を学ばせるのか不思議に思いました。

その事をおじいさんに聞いても

「大切な息子じゃから、万が一悪党にでも襲われては堪らんからの。護身用として身につけさせとるんじゃ」

と言うだけでした。

 

そしてその頃から不審な噂が流れてくるようになりました。

近隣の村や町に強盗が入るというのです。

その強盗はとても大きな体をした一味で、住民を傷つけ大切な金品を盗んでいくというのです。

ただ、不思議なことに実際に被害にあったという人の声は聞こえてきませんでした。







桃太郎の背が、大人と変わらなくなり、村のスキルレベルも【攻撃Lv3、防御Lv1】となったある日のことです。

いつもの村の集会に、おばあさんが慌てて入ってきました。

「うちの桃太郎が、悪い強盗をやっつけに行くと言うんじゃ!オラたちがいくら止めても聞きはせん。あぁ、どうしたらいいんじゃ…」

村の人たちは驚いて桃太郎の家に向かいましたが、そこには既に旅支度をした桃太郎が立っていました。

 

「強盗にたった1人で立ち向かうのか?いくらなんでも無茶じゃよ」

「お前ぇさん、そもそも強盗がどこにいるのか当てがあるっていうのか?」

「いくら剣の腕が上達したからって、相手は複数おるんじゃよ、さすがに勝ち目は無かろう」

村の人たちは口々に思いとどまるよう説得しましたが、桃太郎は目を閉じて聞いているだけでした。

 

そして一通り皆の意見を聞くと静かに歩き出し、振り返りもせず

「もう決めたことだ。行ってくる」

と言い残して大きな街道へと続く道をまっすぐ歩いていきました。





桃太郎は村から半日ほど歩いた所にある、大きな街道の端の岩に腰かけていました。

この街道は旅人や荷を運ぶ人などが数多く通る道で、特に今日のような天気の良い日は人通りが多くありました。

時々、道の端に腰かけている桃太郎に気付いて大丈夫かと声を掛けてくる人がいましたが、その都度「少し疲れただけじゃ」だの「遅れた人を待っているだ」だのと適当に返事をしていました。

 

しばらくすると、急ぎ足で西へ向かう一匹の猿がいました。桃太郎はその姿を細い眼の奥で拾うと、ようやく立ち上がり「さあ、疲れも取れたし、先を急ごうかの」とやや不自然な大声を出して猿の少し後を歩いていきました。



しばらく猿から少し離れて歩いていた桃太郎が、急に背後に近付き猿を呼び止めました。

「ちょいとあんた、これを落としてねぇか?」

猿は驚いて振り向くと、桃太郎が小さな巾着を差し出していました。

その巾着に見覚えが無い猿は、不審な目で桃太郎を見ると首を横に振りました。

「あー、そうか。てっきりあんたのだと思って拾って追いかけてきちまっただ。通りすがりった人のだったのかの。持って来てもうたわい」

まだ若い桃太郎が屈託なく笑うので、猿の警戒も解けて思わず笑い返しました。

「逆方向ならもう間に合わんだろ。仕方ない。旅の駄賃だと思って貰っとけ」

桃太郎は細い眼をさらに細めて満面の笑みで頷きました。



猿は急いでいたのでそのまま桃太郎と別れるつもりでしたが、かなり急ぎ足でも桃太郎が難なく付いて来る上に息も切らさず会話をするので驚きました。

しかし既に桃太郎への警戒心は無くなっていたので、良い話し相手ができた事を少し嬉しく思いました。

 

街道を急ぐ道中、猿は桃太郎に色々な話をしました。東の方で仕事をしており、まとまった休みが貰えると病気がちな母親に会いに田舎へ帰る事、せっかくの休みを長旅で潰されるので実はあまり帰省したくない事など、普段は話さない内容も桃太郎が聞き上手なので次々と話してしまいました。

 

話を聞いてもらった猿は気分が良くなり、街道にある茶屋へ誘いました。桃太郎は申し訳なさそうに奢ってもらった団子を食べると、お返しにおばあさんが作ったきび団子をやりました。

猿は若い桃太郎の気遣いが嬉しく、喜んできび団子を食べました。

 

桃太郎は猿と同じ方向に用事があるというので、道中はずっと一緒に居ました。桃太郎は宿屋で、茶屋でと、事あるごとにきび団子を猿にやりました。そして何日か経つと、猿の方からきび団子を催促するようになりました。

そして猿はどこへ向かおうとしていたのか、誰に会おうとしていたのか考えることをやめ、ただただ桃太郎について歩くようになりました。



数日後、西の方の街道の端の岩に腰かける桃太郎と猿の姿がありました。桃太郎は東へ急ぐ犬に目を留め、その後をじっとりと追いかけて行きました。何も言われずとも桃太郎について行く猿の目は、まるで何も映っていないかのようで、その瞳には深淵が広がっているだけでした。



 

 

 

 

あとちょっとだ、ガンバレ!

(ФωФ^) ( *⌒)

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美吉屋

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