拝啓。しばらくお便りがございませんでしたがお元気でしょうか。
こちらは幸いにも日々変わらぬ生活を送っています。
先日、二つ隣の鈴木さんがお亡くなりになりました。病を患って居るとの事でしたが、峠は越したのですがトイレに行こうとした際バナナの皮で足を滑らせてしまい、予期せぬ早期の他界となりました。葬儀の際には御香典に東京ばななを添えてお焼香しました。お顔を拝借しましたが、まるで眠っているかの様な安らかな表情でした。きっともう思い残す事は無いのでしょう。謹んでご冥福をお祈りいたします。
そちらはどうですか。
そういえば、葬儀の場で平山さんにお会いしました。
相変わらずお年を感じさせない様なハイカラな方ですね。
一緒に旅に出ると言われていたので、その後のお話を聞かせていただいたのですが、少々妙な話を耳にしました。
例の宿ですが…。失礼ながらどうやら軌道に乗れていないようだ。。と。
平山さんは一度ご自宅にお帰りになったようですが、戻ろうか戻ろまいか迷っておられる様でした。なにやら宿主と一部のスタッフに若干の胡散臭さを感じ取っている。との理由でした。
あ、いえ。決して怪しい宿だと疑っているわけではないのですよ?
ですが、どうも宿を訪れた人からお話を伺うと(疑っているわけではないのですが、連絡も無いので少し調べさせて頂きました)やたらクセの強い従業員が多かった。との事。
なにぶんにも実際にこの目で見たわけでは無いので定かではありませんが、やたら図体も態度もデカい
0歳児が居るとかいないとか。
さらに
やたら背の低い
ヤンママが居るとかいないとか…
いいえっ。誤解があるといけないので弁解しておきますが、あくまで人づての話です。自分の見解では無いので…利用者の声ですから。
それに何より、ただそれだけで胡散臭いと疑ってかかってはいけませんよね。
どんな人間も見た目だけで判断してはいけません。かつてそう教えてくれたのは他でも無い貴女ですから。
きっと毎日充実した日々を送っておられることでしょう。
そうそう。最後に届いたお便りに書かれておりました「喧嘩聖物祭り」ですが、結果はどうだったのでしょうか。
昔っから喧嘩っ早くて「負けず嫌いのP」と言われた貴女ですから、きっと血の雨が降った事でしょうね。また改めてお話聞かせてください。
…盆休みには一度帰省したいと思っていたのですが。どうやらまだ帰って来る気配は無さそうだと平山さんからうかがいました。
連絡する手段も無いので(電話ひとつ備わっていないとの事。トイレも汲み取り式であると伺いました。腰が悪いんですから落ちない様に気をつけてくださいね)盆休み中待っているのもあれなので、こちらから赴こうと思います。
大体の所在地は平山さんから教えて頂きましたので。
随分、人里離れた場所にあるのですね…。電気は通っているのでしょうか。
Wi-Fiは…おそらく無いでしょうね。
ポケットWi-Fiと念のため自家発電機持っていきます。
もしかしたらこの手紙が届くが先か行くのが先かになってしまうでしょうが、念の為送っておきますね。
それでは無事お会い出来る日を楽しみにしております。
山荘Dynamis在住 P様宛
ー正男ー